FRANCK MULLER(フランク・ミュラー)

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1979年、ジュネーブ時計学校の卒業制作においてロレックスのムーブメントに改良を施して永久カレンダーを作り上げ、創立以来の最高成績で卒業した時計師がいる。
彼の名前は、フランク・ミュラー。後に時計界に名を残すこととなる時計師である。

フランク・ミュラーは、1980年代より独立時計師としてオリジナルウオッチを製造し、1986年にはトゥールビヨンを搭載した腕時計を開発。バーセルデビューを果たすと同時に、時計関係者からの注目を集めていく。

フランク・ミュラーはメカニカル・ウォッチを専門に作る数少ない時計師の1人であるが、その作品はユニークでかつほとんどが革新的で、ミュラーがスイス伝統の時計製作技術に熟達していることを物語るものである。

世界初のグランド・コンプリケーシヨンをいくつも手がけていた彼に転機が訪れたのは、1991年。
現ウォッチランドグループのCEO、ヴァルタン・シリレマケスとの出会いだった。

個人からブランドとなってからも、コンプリケーションウオッチ開発の手が休まることはなく、 トゥールビヨンやスプリットセコンド・クロノグラフ、ミニッツリピーター、永久カレンターと、複雑機構と呼ばれる代表的なものを自由自在に組み合わせ、時計界の常識の遥か上を行く製品を発表していく。

外装面においても、球形に着想を得た全由面構成の「トノウ・カーベツクス」をブランド創設時に発表。独自性を獲得している。

何百年にもおよぶ時計の歴史においてフランク・ミュラーは、30以上に及ぶ世界初の機構を個人とブランドで考案。

その内容は、ルーレットを再現した「ヴエガス」(1999年)や、ランダムに配置されたインデックスで時刻を示す特殊ジャンピングアワー「クレイジー・アワーズ」(2003年)といったユニークなものから、3次元トウールビヨンを備えた「レポリューション3」(2003年)や、超ド級のコンプリケーション「エテルニタス」シリーズまで、実に多彩である。

フランク・ミュラーの時計の裏ブタには「Master of Complications」と刻まれている。まさに複雑機構を知り尽くす同社に相応しいフレーズである。

これまでスイスの時計業界は、バーゼル・ワールド出展組とジュネーブ・サロン出展組にほほ二分されていた。

だが現在、これらに対向しうる第三の勢力としてW.P.H.H.出展組(つまりフランク・ミュラー・グループ)を認めるべきときが来たと言える。

この状況が生まれるに至った背景には、数年前に吹き荒れた大手資本による時計メ―カーの買収ブームがある。
これによってめぼしい時計メーカーは、ほぼどこかの資本の傘下となって系列化が進み、同時に部品サプライヤーの囲い込みが進んだ結果、資本に属さない独立系メーカーには部品供給に対する危機感が募った。

そこで資本力を持つフランク・ミュラーグループでは、自社内でほとんどの部品を製造可能とする生産システムを構築し、それを頼って小規模な独立系メーカーがフランク・ミュラー・グループに集合。

その高度な技術力と生産能力を活用して、独自性を保ったまま製品クオリティを上げ、市場競争力を向上させたいと願ったのである。その目論見は成功した。

たとえばロドルフでは、ウォッチランド参加以前と以後の製品を比べると、まるで別物と思えるぐらいに作りが良くなった。
他のブランドもまつたく同様である。

ただし、これで万事オーケーか、といえばそうも断言できないだろう。
これだけブランドが増えれば、ポジショニングやプライス・レンジがバッティングし、いわばブランド同士の食い合いが起こる可能性もある。

ただ、フランク・ミュラー・グループが他と異なるのは、取材していてポジショニングに関する話題が、まるで出てこないことだ。

つまり、良い意味での放任状態。
だからこそ、それぞれのブランドが思う存分自分たちの仕事に専念でき、それが結果として高い評価につながっているのだ。

このような状況がいつまでも続くことを願っている。なぜならW.P.H.H.の会場「ウォッチランド」とは、時計師フランク・ミュラーが夢に描いた"理想の時計王国"なのだから。

2006年の「エテルニタス」、2007年の「エテルニタス・メガ」と立て続けに超弩級複雑時計を発表したフランクミュラー。

それだけに一休み的印象だが、よく考えると「マスターカレンダー・マスターバンカー」など、実用も十分に備えた秀作がある。

つまり頂点に達した複雑時計は今後、実用性やメインテナンス性を追求する方向に向かうのではないか。
そんな未来図を提示するのが他ならぬフランク・ミュラーだった、というわけだ。

ジュネーブでフランク・ミュラーに出会ってからすでに数年が経つ。
「スイスで最も期待される時計職人ですよ」と、ある時計関係者に紹介されたのだが、そこで見せられた時計はまさに伝説の時計師の手から生まれたような、複雑さと美しさをもつものだった。

それから年毎に、彼の手から生まれる時計は技術も美も洗練され、会うたびに彼の顔は若いながらも風格と輝きを増していった。

そして、今や彼は時計ファンなら誰もが知る存在だ。
ジュネーブの時計学校に籍を置いていたおよそ8年前、彼は、一介の学生でありながら、その並み外れた才能が注目を集め、「ブレグの再米」などと時計業界の話題をさらった。

彼個人の卒業制作のために、ロレックス本社が部品供給とロレックス・ブランドの使用許可を申し出た話や、卒業時に某有名ブランド数社が引き抜きに札束の厚さを競った話など、幾多の伝説的なエピソードの持ち上でもある。

だが、自由と独立を求めてやまないスイス人生来の気質と、時計技師としての彼の頑ななまでのプライドは、フリーの立場で時計を作り続ける通を選ばせたのだった。

パテック・フィリップやユリス・ナルダンなどの、一流ブランドの高級特注ラインの製作を担当する一方で、彼は世界中のコレクターからの特別注文に応えて「FRANCK MULLER」の名を冠した独創的な時計を作り続けている。

ここ数年、その技術とセンスには益々磨きがかかり、寡作ながらも溜め息が漏れんばかりの出来栄えの作品は、異常とも思える高値でオークションで落札されたり、コレクターの間で取り引きされているという。

世界中の大手時計ディーラーたちが彼の作品の販売権獲得に躍起になっている矢先、思わぬ情報が入ってきた。

「日本の、ある若くエネルギッシュな会社と正式に契約を交わしたばかりです。実は、これまで世界中のいろんな企業から契約の話をもちかけられたけど、彼らにはお金に対する興味はあっても、時計に対する愛が少し欠けているように思えて、すべて断ってきたんです。今回やっと相思相愛の相手にめぐり合えて、満足しています。世界に先駆けて、日本の皆さんに私の作品を紹介できる日を、心待ちにしています。」

近年、フランク・ミュラーの新作シリーズに加わったのは、ダブルフェイス・クロノとダブル・ジャンピングアワー・ウォッチである。
この内ダブルフェイス・クロノでは、表裏2つのダイアルが付いて、それぞれが異なる機能を持つダブルフェイス・ウォッチに,、ミュラーはさらにスプリットセコンド・クロノグラフを合体させてしまったのだ。
メイン・ダイアルはスプリット・セコンドのクロノグラフで、通常の時,分は6時の位置のスモールダイアルに表示される.9時の位置にはスモールセコンド,、3時の位置には30分計が付いている。そしてケースの裏側にあるもう1つのダイアルには、針が1本付き、テレメーター、タキメーター、パルスメーターの各目盛りが刻まれている。

次に、ダブル・ジャンピングアワー・ウォッチでは,、2つのデジタル窓にそれぞれローカル・タイムと第2タイムゾーンの正時を表示するようになっている。また,窓に表示された2つの数字は共に60分毎に変わり、第2タイムゾーンは独立にリセットすることも可能になっている。
さらに、 フランク・ミュラーはこの時計にムーンフェイズというオマケも付けているが、これはスモールセコンドと同心円になっている。

ミュラーのもう1つの新作に,パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフがあるが、これには自動巻ムーブメントが搭載され,、またレトログレード(フライバック)式に均時差を表示するようになっている。そしてこの作品の中で注目したいのはやはり、彼が月毎に変化する均時差を表示するのにレトログレード式針を取り入れて見事に実現してみせたことだ。


カサブランカ Ref.6850CASA OAC

 101万8500円
ブランド初のSS素材を採用したコレクション。コレクション名は1940年代ヨーロンパ人の憧れの地、モロソコのカサブランカに由来。文字盤は、使い込むほどにエイジングするようになっている。

トノウ・カーベックス クレイジー・アワーズ Ref.5850CH 5N
 294万円

ランダムに配置されたビザン数字めがけて時針がジャンブして時刻を表示する特殊機構を搭載。この機構により針位置で感覚的に時間を捉えるアナログ表示の概念に一石を投じた。

サンダーボルト TM トゥールビヨン Ref.8889TFSQTBRN R
 2394万円
重力の影響を受ける余地を残さない、5秒1回転の高速トゥールヒヨンを搭載。カンギ車を固定するなど、特許取得の革新構造を備える。強力なトルクが必要となるが、4バレル搭載でパワーリザーブは60時間まで確保されている。

ロングアイランド マスターバンカー Ref.1200MB OG
 309万7500円
スラリと上下に伸びた気品あるレクタンギュラーケースが特徴のロングアイランド。マスターバンカーは ひとつのムープとひとつの文字盤で第3時間帯まで表示可能にする独自機構た。

トノウ・カーベックス マスターカレンダー・マスターバンカー
 630万円
インダイアルに秒針を装備し分針まで調整可能な第2時間帯表示機構。レトログラード式日付表示を始めとするフルカレンダー機能も搭載。自動巻き、Cal.2800。第2時間帯表示、日付表示。Pt。縦55.3×横39.5×厚さ11.8mm。

トノウ・カーベックス トゥールビヨン グランドデイト
 1890万円
12時位置にビッグデイト、3時半の位置に24時表示(GMT)、8時半の位置に曜日表示を装備する多機能トゥールビヨンモデル。手巻き、Cal.2800。パワーリザーブ40時間。第2時間帯表示、日付表示。18KWG。縦55.3×横39.5×厚さ11.8mm。

ロングアイランド カラードリーム
 204万7500円
2004年登場のカラードリームに、今年は時の移ろいを表現するグラデーション・タイプが登場。文字盤ベースは自と黒(各50本限定)。メンズが自から紫、レディスは黄色から赤。自動巻き。クロノグラフ、日付表示。18KWG。日常生活防水。

マリナー
 283万5000円
フランクミュラーのコレクションで、初のリューズガード付きトノウ・カーベックス。白・青・黒のコンビネーションは海と羅針盤をイメージしたもの。PVDブレスレットにも対応可能。自動巻き。クロノグラフ、日付表示。SS。日常生活防水。

コンキスタドール ジョーカー
 299万2500円
スペイン語で"征服者"を意味する「コンキスタドール」の誕生10周年記念モデル。インデックスにダイヤをセッティング。これが"最高の切り札"ジョーカーのイメージ。限定100本は全て日本へ輸出。自動巻き。クロノグラフ、日付表示。SS。

カサブランカ ブラック
 121万8000円
ブラックPVD加工のケース&ブレスレットを装備する「カサフランカ」の新バージョン。ノーマルとは異なるモード感が定番を大きく変身させたが、やはリフランク独特のインデックスの魅力が際立つ。自動巻き。日付表示。SS。日常生活防水。

エボリューション 3-1 ノアール
 時価
3年前に発表された、3次元トゥールビヨン+永久カレンダー・モデルのPVDバージョン。赤で縁取りのインデックスは、カサブランカ、コンキスタドール、コルテスの3ラインに新登場。手巻き。クロノグラフ、日付表示。Ptにブラックコーテイング。日常生活防水。受注生産。

トゥールビヨン・パーベチュアル・カレンダー・ミニッツリビーター
 時価
トゥールビヨンは腕につけた時の姿勢瑳を解消し、どんな位置にあっても精度を保つ機構、腕時計に組み込むのは非常に困難だ。

パーベチュアル・ムーンフェイズ・カレンダー・ミニッツリビーター
 時価
永久カレングーに月齢を組みこみ、 しかもミニッツリピーターを備えた完極の時計だ。

スプリット・セコンド・クロノグラフ
 時価
同時に2通りの経過時間を計測できるスプリット・セコンド・クロノグラフはクロノグラフのなかでも複雑な技術をを要する。複雑さこそフランクを駆り立てる。

トウールビヨン・スプリット・セコンド・クロノグラフ
 時価
2本の針を備えるスプリット・セコンド・クロノグラフにトゥールビヨン機構をつけることで時計にかかる重力差を修正し、高精度を達成。

グランド・コンプリケーション1993
 時価
このウォッチは、ミニッツ・リビーター、パーベチュアル・カレンダー、24時間計、温度計を搭載し、またFTO年と、 レトログレード式で月別均時差(各月第1日日の均時差=視太陽時と平均太陽時との差)まで表示するようになっているのである。しかしこれて全部ではない。この他に、巻き上げリューズと同軸のボタンで操作するクロノグラフも搭載しているのだ。これはスプリットセコンド・クロノグラフで、2時の位置にあるボタンでスプリットセコンドを操作するようになっている。このモデルはコンプリケーションを1つにまとめ上げてしまったという点で、世界唯‐のウォッチといえる。でも、それぞれのコンプリケーションをただくっつけていったのではない。総体的に調和したユニットになるようデザインしている。その結果、スプリットセコンド・クロノグラフ装置は、 ミニッツ・リビーター装置の下に置いている。グランド・コンプリケーション1993はまた、シースルー・バックの裏ブタからムーブメントを鑑賞できるようにもなっているが、それはこの世にこんな時計が絶対ありっこないと思うくらい複雑な姿を呈している。しかしミュラーの説明では、現在iまでに考案、若しくは製作された複雑時計が全て1つになったのだから、もっともな結果だそうだ。ムーブメントを構成するつ一つの部品は、当然のことながら人の手で仕上げと装飾が施されており、最高水準にあるスイス時計の伝統技に従って行われている。あるいは、ミュラーの工房がある場所を考えると、ジュネーブの伝統技といったほうが確かかもしれない。この唯一無二の傑作はこの他、ブラチナ製ケースも装備しており、製作に3年を要したフランク・ミュラーの労作た。

自動巻 アナログ・カレンダー・ウォッチ
 時価
このモデルは、ダイアルの中央にアナログ式カレンダーの付いた自動巻ウォッチで、各種カラーのゴールド、又はプラチナのタイプが揃っている。1993年の初めより、フランク・ミュラーが製作した自動巻の全てにブラチナ・ローターが搭載されているが、比重の高いブラチナを使用することにより、特にローターの巻き上げ力がアップするほか、性能も大きく向上するからである。このローターの発明とデザインはフランク・ミュラー自身が行っているが、彼はかつての巨匠達の後継者として名乗るにまさに相応しい時計師なのだ。

 
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